オール電化は環境にいい?†結論から言うと、環境によくありません。大幅にCO2を増加させてしまう場合もあります。 多くの方が誤解されており、そうした宣伝をしていることも問題です。 「オール電化は環境にいい」という宣伝†2005年秋までは、電力会社も配慮をして、あからさまに「オール電化は環境にいい」とは宣伝してこなかったのですが、現在は表に出して宣伝をしています。・・と言ってきたのですが、2006年になると後ろめたかったのか、その表現は使われなくなってきています。 関西電力では、2009年に入ってまた「オール電化は環境にやさしい」という表現を使うようになってきています。ただし新聞やパンフレットなど記録に残るものではなく、ラジオやテレビコマーシャルで伝えるようになっています。 生活スタイルと組み合わせによっては、オール電化にするほうが、環境負荷が小さくなる場合もありますが、現状では必ずしもそうはならないことが多いです。 東京電力のパンフレットにはオール電化にした家庭へのアンケート調査結果がありますが、使ってみて良かった点で「環境にいいから」という回答が9割以上ありました。この家庭の多くは、実は環境負荷を増やしてしまっています。市民への誤解を招いているとともに、誤解を広めてしまっている問題があります。 「電気温水器とっても経済的!」?†関西電力の宣伝ページに合わせて検討してみます。 ランニングコストで、都市ガス給湯器は月7500円、電気温水器は月3800円。だから電気温水器が「安い」という話が掲載されています。 では、この試算条件で二酸化炭素排出量を計算してみましょう。 都市ガス温水器は50m3の消費で、二酸化炭素排出量は108kg。 電気温水器は、540kWhの消費で、二酸化炭素排出量は204kg。 電気温水器を使うと、二酸化炭素排出量は2倍程度に増加してしまいます。電気温水器を導入すると、環境負荷は大きくなりますので、ご注意下さい。 電気温水器とっても経済的! http://www.denka-life.com/bath/onsui/keizai.html 環境にやさしいエコキュート†電気温水器のかわりに、ヒートポンプでお湯を沸かすエコキュートにすると、二酸化炭素排出量が少なくなります。これはエアコンと同じように、屋外の熱を利用する機能(ヒートポンプ)が働くためです。 でも実際の家庭を調べてみると、ガスからエコキュートに変えたことで、二酸化炭素排出量が増えている事例もありました。(CASA中間報告参照) ガスからエコキュートに変えた家庭のCO2排出量の変化
夏場をシャワーだけですませるなど、お湯をあまり使わない家庭の場合には、その場合でも給湯器全体を保温し続ける必要があるので、結果的に二酸化炭素排出量がガスのときより多くなる場合があります。 オール電化に関する議論†2006年8月に気候ネットワークから、オール電化の環境負荷が大きいという検討結果が公表され、大きな議論となっています。それに対して、電力中央研究所から反論ペーパーが出されました。 電力中央研究所のペーパーでは、「オール電化家庭」をエコキュートが導入されている家庭を前提として試算した結果、ガス給湯家庭より16%二酸化炭素排出量が少ないことを掲載しています。でも、エコキュートが導入されはじめたのは2002年からで、2005年になっても旧式の電気温水器よりも年間導入件数が少なくなっています。現状ではエコキュート家庭よりも、旧式電気温水器家庭を導入しているオール電化家庭のほうが数倍あると推計され、「エコキュートが環境にいいから、オール電化も環境にいい」というのは議論のすり替えです。 電力中央研究所では、電気温水器の家庭の数値は示していませんが、電気温水器の家庭で計算し直すと、明確に環境負荷は増加します。 CASAでも研究会中間報告をだしましたので、ぜひごらんください。 2007年1月に「エネルギーフォーラム」の雑誌に、電力中央研究所から、CASAの中間報告に対する反論が掲載されました。反論といいながら、基本的な主張への反論はありませんでしたのでおおむね内容は認めてもらったようなものです。これに対して、CASAでは電力中央研究所の議論のあいまいな点を再反論させていただきます。
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