エアコンはつけっぱなしにしておいたほうが省エネなのですか「点けっぱなしにするほうが省エネだ」という話がマスコミなどで取り上げられることがあります。その意外性から、話が一人歩きしがちですが、実際には、必ずしもそうなりません。どのような場合なら消したほうがいいのか、状況によって結果は違ってきます。 エアコンはこまめに消したほうがいいのか、つけっぱなしがいいのか、電力中央研究所の実験結果が公表されています。同じ部屋で冷房消費電力の比較をした結果、、連続運転をするほうが、点け消しを繰り返すより消費電電力量が3割減るという結果になっています。 http://criepi.denken.or.jp/setsuden/pdf/home20110804.pdf(電力中央研究所2011年) これをもとに、「つけっぱなしのほうが省エネ」という話が出回っています。さて、本当でしょうか。 少しグラフを詳しく見てみましょう。どのようにつけ消しをしているかといえば、30分運転しては5分停止を繰り返す、というかなり細かい操作の結果です。これだけ頻繁につけ消しすることは通常はないでしょう。 また、同じだけ冷房を使った家といえば「こまめに消す」(青線)ほうが、連続運転(茶色)より室温が低くなっており、その分も含めて消費電力が大きくなっています。室温が低くなっているのですから、同じ比較とは言いにくいです。これは、エアコンをつけ直したときに、室温が設定温度より低くしてから温度調整をする運転に入るためのようです。 あと1点注意が必要なのは、連続運転の平均消費電力が100Wと低く、Low-eガラスを使うなどかなり断熱性能の高い建物に相当している点です。これだけの高い性能の家は、まだ日本の住宅の1割もありません。 他の調査では違う結果もでています。下の結果はダイキンによるもので、30分ごとに停止をするのであれば、点け消しのほうが省エネだが、より長時間の外出がある場合には、切っておくほうが省エネという結果になっています。 https://internetcom.jp/201410/daikin-cooling-experiment(ダイキン2014年) どのような場合に、ON/OFFが適切でないのか調査されたグラフには面白い情報が、たくさんあります。エアコンをONにするとしばらく消費電力が大きくなるのが見て取れます。点けてしばらくは冷気が出てきませんが、この間、冷媒の準備のために、電力が消費されているのです。また、最近のエアコンだと、停止した直後に毎回自動掃除運転が始まるものもあり、これも電力を消費します。 このため、あまり頻繁につけ消しをしないほうがいいのは事実です。 「冷房が十分効いてきたから」という理由である場合には、ON/OFFで調整するのではなく、温度設定を控えめにすることで調整するほうが望ましいです。 しかし、つけっぱなしにしていると、電気が消費され続けますので、消している時間があるほど省エネになります。特に断熱があまりできていない一般の住宅では、熱の流入が多い家・部屋では、連続運転で多くの電気が消費されます。 30分以上ならOFF、それ以内なら温度調整で対応をもし「部屋をしばらく離れて部屋にだれもいなくなる」という状況で、つけっぱなしがいいのか消したほうがいいのか悩んでいるのであれば、30分以上であれば止めておいたほうが省エネになります。特に断熱があまりできていない家であれば、止めておいたほうが効果的です。買い物に出かけてすぐ戻るつもりだったのが、つい長話をしてしまったりといったこともあります。 もし出かける時間がわかっているのであれば、出かける直前に消すのではなく、しばらく前に消しておいても、冷気が残っているなかで準備するのも工夫のひとつです。 また、夜になって外が涼しくなってくると、エアコンを止めるタイミングが大切になってきます。「つけっぱなしがいい」と思い込んでいると、外の涼しさに気づかずに、ずっとつけてしまい、電気代が多くかかってしまう場合があります。その意味でもエアコンは「つけっぱなしでもいいもの」と考えるより、「消すように気を配るもの」と考えておくほうが、結果的に省エネになります。 ちなみに照明やテレビなどは、こまめにON/OFFしても問題なく、エアコンのように気にする必要はより少なくなります。気がついたら消すようにしましょう。 2017/8/9 2018/05/05修正
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