冷房でエアコンの設定温度を28℃にしましょう†夏によくエネルギーを消費するのが冷房です。少し暑く感じる人も出てくる場合もありますが、省エネの目安としては28℃にすることが言われています。1℃温度設定をあげると、冷房消費電力はおよそ1割減らすことができます。人によって感じ方は違いますので、29℃や30℃で設定している方もいます。 夜も熱帯夜で寝苦しい場合もありますが、熱帯夜の判定基準は最低気温が25℃を下回らないということです。もし25℃であるなら、冷房基準の28℃よりも低くなっていますので、冷房を止めて外気を取り入れることで部屋を涼しくすることもできます。深夜や朝にかけては、窓をあけて自然に冷やしておくことが有効です。 さらに、そもそもエアコンを使わないようにする工夫も大切です。日射が入ると部屋が暖まってしまいます。なるべく朝日や西日など直射日光が入らないように、すだれやよしずで遮ることが大切です。5月ころから、ゴーヤや朝顔などの棚を準備しておくと、夏の時期にとてもいい日よけになります。カーテンを閉めることでも日よけになりますが、窓の内側になるために熱がこもりやすく、すだれやよしずなど室外の日よけのほうが効果的です。 窓をあけて、自然の風が入ってくると、涼しく感じられます*1。また風鈴や水の流れる音なども、涼しく感じさせてくれます*2。ただし、夏の午前中〜お昼過ぎまでは、家の中のほうが外気温よりも低い場合が多いです。特に断熱・遮熱がしっかりしている家屋の場合には、その傾向が高く、窓を閉めきっておいたほうが涼しく過ごすことができます。ただし、夜はしっかりと風を通して家の中を冷やしておくことが肝心です。 扇風機を活用することでも涼しくなります。風があると、皮膚から汗が蒸発して涼しく感じます。扇風機も電気を使いますが、エアコンの消費する電力に比べれば10分の1程度ですので、ぜひ活用してください。 もし家にずっと居る方の場合には、水でのシャワーを時々浴びてみてみださい。汗を流すとともに、身体が冷やされて、気持ちよく過ごすことができます。 夜寝苦しい場合には、水枕や氷枕も有効です。 効果†冷房の設定温度を1℃下げると、おおよそ1割の冷房エネルギーを削減することができます。暖房も、設定温度を変えることで同じ程度の効果があります。 冷暖房は部屋の内外の温度差に比例して、エネルギーがかかります。 扇風機をつけると涼しく過ごせますが、扇風機に電気がかかります。東京電力の「くらしのラボ」では扇風機を併用したときの消費電力量について調査しています。設定温度を1℃下げるのであれば、扇風機を併用するほうが1割程度省エネという結果が出ています。 うちエコ診断の結果†2011年度の環境省が家庭エコ診断推進基盤整備事業で行った調査のとりまとめが公表されています。 まずは実際にどの程度の温度設定をしているのかの分布ですが、温度設定は28℃の家庭が最も多いのですが、25℃以下に設定している家庭も多くみられるのが実態です。(グラフ横軸は、バーの右側の値がその温度です) 逆に29℃以上に設定している家庭は、ほとんどみられません。もっとも、温度設定をした温度に部屋全体がなっているかどうかは、別問題です。 冷房の利用状況などを考慮して、28℃に設定しなおして使った場合の削減効果のグラフを見ると、冷房の使い方が家庭によって大きく異なるため、削減幅は大きく広がっています。平均すると46kg(家庭全体のCO2の1%程度)の削減となっています。 設定温度が低い家庭ほど、また冷房の使用が多い家庭ほど削減量も多くなります。 費用†設定温度を調整するだけなら費用がかかりません。 すだれやよしずは、ホームセンターやスーパーなどで数百円で売られています。 ゴーヤを植える場合には、ホームセンターでネットを購入する必要があります。必要に応じて、肥料も与えてください。 関連の取り組み†住まいの工夫以外にも、E87 衣服で調節し、冷房を控えることや、食事でも身体を暖めすぎない食事にするなどいろいろな工夫がされてきました。E106 エアコンのフィルターを掃除することも効果的です。 よく節電では、こまめに消すことが提案されていますが、エアコンの場合には消したりつけたりすると、かえって電気の消費量が増えてしまう場合があります。特に起動時の準備にかかるモーター負荷が大きく聞いてきます。むしろ温度設定を調節することで節電したり、夕方など外気温が下がってきたときには早めに切る工夫が有効です。 冷房の場合には、家庭よりも、オフィスやスーパーなど事業系の消費のほうがはるかに多くなっています。冷房温度も28℃が守られていないことが多いようです。こうした場所に出かけて「少し寒いな」と感じたときには、ぜひ遠慮無く「寒いです」と伝えてください。エネルギーを多く使って不快な思いをするのは、全く無駄なことですから。 ちなみに、設定温度が28℃は間違っており、部屋の温度を28℃にするのが正しいといった情報も出回っています。ただ定格にあった部屋で正常なエアコンであれば、設定と実温度は同じになるものです。設定温度28℃を守ることで問題ありませんし、もし設定温度にならないようなエアコンであれば、買い換えかサイズの見直しを検討されたほうがいいかと思います。 関連情報:除湿は省エネになるの?†湿度が低いと汗の蒸発がすすみやすく、同じ気温であっても涼しく感じます。エアコンにも「除湿」機能があり、これを使うことで省エネになるという話がありますが、実際には省エネにならない場合もあります。 エアコン内部では、除湿は冷房運転と同じ動きをしています。室内機の内部を冷たくして、結露させるのが除湿です。ここで、「再熱除湿(寒くならない除湿)」というモードがある場合には、せっかく冷やした空気を暖めることになり、夏場の空調として使う場合には無駄になってしまいます。再熱除湿の場合には、冷房を使った方が省エネになります。 導入のしかた†リモコンで設定するだけです。 ちなみに、ON・OFFをするとエアコンの場合には余計な電気を消費します。 おすすめの家庭†どの家庭でも実行することができます。 なぜ28℃なのか†建築関係の資料では、快適な生活をするための冷房の設定温度(推奨温度)は26〜27℃とされていることが多いです。もっとも、居住する人の年齢や部屋の種類などによっても変わってくるもので、23℃〜28℃といった記述もあります(空気調和衛生工学会:暖房と冷房、オーム社)。 京都会議前後ごろは27℃という目標数値もときたま見られたのですが、環境省が後押ししたのか28℃が「省エネ・温暖化防止」の目安になっています。 そんなこと推測していたら、当時の担当課長が「なんとなく」で決めたって記事が2017年に載っていました。http://www.huffingtonpost.jp/2017/05/11/cool-biz_n_16555154.html 余談:ショッピングモールの温度設定†とある会社の環境報告書に掲載されていたのですが、夏の冷房温度設定は、お客さんに満足してもらうために25℃に設定するそうです。ちなみに、冬の暖房設定も25℃ということで、年中同じ温度にしているとのことでした。年中、常春の状態ですから、これは過ごしやすいのかもしれません。でもそうでしょうか。 私たちは通常、夏は半袖で過ごしますし、冬には厚着をして場合によってはコートを羽織ることもあります。夏に半袖で25℃の場所にいたら、身体は「寒い」と感じはじめるくらいです。逆に冬に厚着で25℃の場所にいたら、身体は「暑い」と感じることになるでしょう。年中同じ温度が快適だと、本当にお客さんが言っているのかわかりませんが、中で過ごしている状態では、夏に寒く、冬に暑く感じてしまっているのが現状なのです。 夏はより涼しく過ごしたい、冬はより暖かく過ごしたいという要望がそうしているのかもしれません。けれども結果的に身体に対しては、季節外れの負担をかけていることになるのです。涼しく過ごしたいと考えたらきりがありません。冷房は「涼しく過ごす」ためのものではなく「暑くないようにする」ためのものと考え方を変えていけばいいのではないでしょうか。同じく暖房も「暖かくする」のではなく「寒くないようにする」ものです。 こう考えると、28℃もあながち無理な温度ではありませんし、もっと高い温度でも「暑くなく」過ごすことができるはずです。 コメント†
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